わらびもちは、のどごしのよい季節の味わいとして、広く親しまれています。
山野に自生する春の山菜として知られる「わらび」ですが、私は昔、親に連れられて、よく山菜採りに出かけたものです。
そして一度、わらびの地下茎から本蕨粉を取り出そうと試みたことがありました。自生場所を丁寧に掘り起こしましたが、その根をすりおろして取れた「でん粉」は、お米5粒分ぐらいの量でした。
夏の涼菓として広く親しまれてきたわらびもちですが、材料の希少性もあり、やがて甘藷澱粉などの豊富な素材で作られるようになりました。
始まりは素材を活かす知恵として、そして今では涼を楽しむ味わいとして。その移ろいも、暮らしに寄り添う和菓子の魅力なのかもしれません。
そんなわらびもちですが、材料の配合、火の入れ方、そして冷まし方などで、口どけや味わいはお店ごとにまったく異なります。そこに、わらびもちの奥深さを感じます。
手に取ってくださる方々に涼味を届けたいと願う「気持ち」――そのやわらかな「心もち」が、大切なのだと思います。
ちなみに蕨って、「草」と「崖」と「曲がり=逆」と「あくび=欠」。傾斜地にくるっと曲がって生える草。あくびか吐息か、気流の形かもしれませんね。
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ところで、私は美味しいわらびもちのお店、知っていますよ。