末廣屋

わらびもちは、のどごしのよい季節の味わいとして、広く親しまれています。

粽は、災厄を祓う縁起物ともいわれます。夏に「蘇民将来」の故事にちなんで門口に飾る習慣もありますが、ふとした時に誰かを気遣う真心こそが、艱難辛苦を乗り越える力になることを、そっと伝えてくれているようにも感じます。

柏餅は、上新粉に砂糖を加えた生地を、蒸しながらほどよく練り合わせて「もち」に仕立て、こし餡や味噌餡を包み込み、柏葉で巻いたものです。

水無月は、初夏に貴重だった氷の姿を模し、季節の移ろいに涼を感じる和菓子として、毎年6月30日に多くの方が求めます。

ところどころに餡が見え隠れする素朴な見た目も魅力で、私はなぜか、パンダのようなかわいらしさを感じてしまいます。

仏芋（つくねいも）と上白糖を丁寧に混ぜあわせ、上用粉を練り込んで仕立てた生地で「こし餡」を包み込み、いろどりを添えて蒸し上げたお饅頭。

白あんに、ういろう生地をそっと重ねたやさしい甘さの、はねやすめ。羽ばたきを待つ蝶のように生地はふんわり重なります。

淡い色あいで花弁を表し、桜の花に見立てた上生菓子です。こなし（白餡に小麦粉や餅粉を混ぜて蒸し、練り上げた生地）でこし餡を包み、もちもちとした食感となめらかな餡の美味しさが広がります。

小麦粉、卵、砂糖、蜂蜜を使って作る素朴さに、黄金色の輝きと風格を併せもつ焼和菓子の代表格です。

きな粉の香ばしさが重なって、奥行きのある味わいが生まれます。また黄金色に輝く美しさが、この餅ならではの魅力です。