ちまきとは、上新粉に上白糖を加えて練った生地を蒸し上げた「おもち」です。香り付けに笹で包み、い草で縛って束ねた姿は、端午の節句の風物詩といえます。
象牙を思わせるような乳白色に透き通る円錐の餅は、もちもちとした食感で甘みの中にほんのり塩みの効いた絶妙な味わい。鼻に抜ける笹の香りが、たまりません。
京都・東山、泉涌寺のふもとに店を構える末廣屋さんの粽は、まさに格別のひと品。これまでに食べたどの粽よりも美味しいと感じました。

粽は、災厄を祓う縁起物ともいわれます。夏に「蘇民将来」の故事にちなんで門口に飾る習慣もあります。
ふと思いました。誰かを気遣うまごころが、艱難辛苦を乗り越える力になることを、そっと伝えてくれているのかもしれません。
そして何よりの魅力は、やはり笹に包まれた神秘性。幼いころ、い草をほどいて笹をめくるその瞬間に感じた、あのワクワクするような不思議な気持ちが、今でも胸に残っています。
この時期にしか手に取ることのできない、まさに季節のたからもの。
いつ食べますか?
今でしょ。
心からおすすめします。