淡い色あいで花弁を表し、桜の花に見立てた上生菓子です。こなし(白餡に小麦粉や餅粉を混ぜて蒸し、練り上げた生地)でこし餡を包み、もちもちとした食感となめらかな餡の美味しさが広がります。
私が小学生だった頃、地域の公園にあった桜の木に登り、小さな実を採って食べた記憶があります。
それは観賞用の桜でしたが、赤黒く熟した実はほんのり甘く、季節の鳥たちのごちそうとして実ったものでした。子どもは好奇心旺盛ですね。
春の気配を感じながらこのお菓子を口にすると、あの頃の景色がふと心に浮かびました。
花は咲き、やがて実を結ぶもの。
やさしい味わいが、自然のめぐりをそっと感じさせてくれました。